2つの世界
「家の事?」
「あぁ。花にしか言ってないもんな。波留さんは…」
「言わないでよ!!」

弘輝が言おうとすると、あの波留さんが取り乱して止めた。

「なんでこいつらに言う必要があんの?」
「桜は被害者ですよ。言うのは当然でしょ?」
「…。」
「それに、波留さんに言えって言っても言わないですよね?だから俺が言うんです。」
「…。」

波留さんが何にも言わなくなったのを見て、弘輝は話を続けた。

「波留さんは今家がない。一人暮らしをしてたマンションは家賃が払えなくなって追い出された。実家の親とは絶縁してるから居場所がないんだ。」

人気あったのに、いきなりなくなったから家賃が払えなくなったんだ…。

きっと言ってほしくなかったのは、波留さんのプライドがあったから。

でも、ちょっとヒドイけど可哀想だとは思えない。

あたしと悠斗も同じくらい傷ついたから。

「波留さん。」
「何よ…。」
「あたしを潰そうとした理由、もう1回話してください。」

波留さんは少し間を置いて話始めた。

「あたしより…人気があったから。あたしは少しづつ落ちてたのよ。それと、幸せそうだったから。あたしは人気があるときでも、彼氏なんかいなかった。ムカついたのよ。あたしと違うところが全部。」

波留さんは少し目に涙を溜めてるように見えた。
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