Memories - 年の差恋愛 -
その音に気がついた飛田さんがゆっくり振り向いて私の姿を確認してから電話を切ったのは覚えている。

「佐智子ちゃん!?」

突然のことできゅーっと胸が苦しくなって。

辛くて、辛くて。

私はそのまま意識を手放した。


どれくらい時間が経ったのか。

気がつくと飛田さんのベッドの上に寝かされていて。

「大丈夫?」

ずっとそばにいてくれたのか、飛田さんが両手で私の右手を握っていてくれた。

ベッドの脇に腰掛けるようにしていた飛田さんが、目を開けた私にやさしく笑いかけてくれて。

その笑顔を見たらふっと先ほどの電話のことを思い出し、再び胸が苦しくなってしまった。

「…私、帰ります」

今が何時なのかわからないけど。

明日は仕事があるし、今は飛田さんと一緒にいたくない。

「泣かないで…」

飛田さんの手がやさしく私の頬を触って、いつの間に流れていたのか涙をそっと拭ってくれた。
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