加納欄の催眠術 シリーズ8
男は、もう何がなんだかわからない状態で、あたしの質問に答えている。

「すっごぉぉい!ツヨシって、言ってるんですかぁ?」

「そう、ツヨシ、……ツヨ、シィ?」

「そうですよ。姉の戸籍上の名前です」

あたしは、冷ややかな目で、男をみた。

「戸籍上……?ま、まさか……」

男は、目線を祥子先輩に、向けた。

「オ、オカマ……」

男は、茫然とした。

「そんなわけあるかぁっ!!」

あたしは、男のみぞおちに蹴りを入れた。

男は、よろけて倒れた。

「祥子先輩を元に戻しなさいよ!」

「な、なんなんだ!」

「ふざけんじゃないわよ!この、催眠術男!!」

「な、何!?なんで!?」

あたしが、倒れている男に、もう1発蹴りを入れようとしたら、大勢の警官に取り囲まれた。

「神田宏。婦女暴行により、逮捕状が出てる」


え~?


「あれ?お前、南署の加納じゃないか?」

1人の警官が、あたしを見つけた。

「刑事?お前、刑事なのか?じゃ、オカマの刑事……?」

神田宏は、祥子先輩を見てつぶやいた。

「祥子さんっ。祥子さんじゃないですか!大丈夫ですか?お前!祥子さんに何したぁ!」

ちょっと年輩っぽい刑事が、祥子先輩に近寄った。

「オレの祥子さんに、何したんだぁ」


オレの?!


「タケさん、オレのじゃないでしょ」

違う刑事が言う。

「馬鹿者!祥子さんは、オレが守るんだよ!」

「ハイハイ(__)あ~、久々に会えちゃったもんだからぁ」

あたし達は、隣の警察署に保護?された。

祥子先輩は、ちゃんと、催眠術を解いてもらった。

祥子先輩は、催眠術をされていたが、意識はあったらしく、あたしたちの会話はわかっていたらしい。

「なんで、あたしが、オカマなのよっ!?」

祥子先輩に、散々怒られた。

「おい、加納、まさか、手柄横取りするつもりじゃないだろうなぁ」


あ~ヤダヤダ(>_<)


「何いってんの、祥子先輩とご飯食べに行こうと思ってただけなのに。こっちが、被害受けたんだから」

「まぁ、ならいいけどな」


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