ハルのためなら【短編】
「はるかさん、家にあがれっていいましたよね」

ハルちゃんのママ、はるかさんはおばさんと呼ばれるのが大嫌い

だから、小さい頃から『はるかさん』と呼ばされていた

「私はどこに上がってとはいってないわよ」

鏡に映るはるかさんはにっこり笑顔でそういった

はるかさんは実は美容師さん

で、家の1階は美容院になっている

そして私がいまいるのはなぜか美容院

エプロンつけられて鏡の前に座らされている

「試してみたい髪型があったのよねー。良かったせっちゃんが来てくれて。ハルじゃ練習にならないし。やっぱり女の子が欲しかったなーせっちゃんうちの子にならない?」

「なりません」

「そんなはっきりことわらないでよ。パパが早くに逝かなかったら2人目で女の子産む予定だったのよ……」

タオルで目頭おさえるはるかさん

ハルちゃんのパパはハルちゃんが産まれてすぐに病気で亡くなったと聞いた

「あ、はるかさんごめんなさい…」

「セツ、謝んなくていいぞ。嘘泣きだから」


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