ネオン
新宿歌舞伎町。
あたしは、週に4回、ここに来るようになった。
一応週3という契約だけど、
指名のお客さんが来るときはメンバー出勤、つまり、お客さんがいる時間だけ、
休みの日でも出勤した。
「おはよう、愛。」
青木さんがニコニコと肩を叩きながら挨拶してきた。
「おはようございます。」
「今日も同伴お疲れ様。他に今日の予定は?」
「はい、多分佐伯さんが来ると思います。」
「オッケー。いつもありがとう。愛が来てから助かってるよ。」
「いえ、そんな。」
「今日もラストまでよろしくね。」
「はい。」
そんな会話をしていると、佐伯さんがやってきた。
佐伯さんは今日も景気よくシャンパンをいれ、
他愛もない会話をして、
2時間で帰っていった。
佐伯さんはあたしのお客さんの中で、
テッパンであり、
太い客であり、
楽な客だ。
店の外で会おうとか、
セックスさせろだとか、
一切言わない、
楽な客。
今日はお土産にと銀座の有名店のお菓子を置いていってくれた。
あたしはそのお菓子を、
大事に鞄の中にしまって、仕事を上がった。