ネオン
「愛ちゃん、今日もすごいなぁ。」
更衣室で着替えていると、
最近お店に新しく入った芽衣ちゃんが声をかけてきた。
「え、何が?」
「うち、タメの子でこんな売り上げある子みたの初めてや。やっぱ東京のクオリティなんかなぁ。」
芽衣ちゃんは元々大阪の子で、
18のときから水商売をやっている。
「うちも愛ちゃん見習わんとなぁ。」
「あはは。特に、何もしてないんだけどね。
相談くらいなら、乗れると思うから・・・なんかあったら話してね。」
芽衣ちゃんは目をキラキラさせている。
「嬉しいなぁ。愛ちゃんは優しい子やなぁ・・・。
よっしゃ、今日なんか予定ある?!飲みいかへん?!」
「うん、別にいいよ。」
「ほんまぁ。嬉しいなあ!化粧なおさんとあかんわぁ~。」
芽衣ちゃんは笑顔でそう言った。
あたしもにっこり笑った。
直に、心から、嬉しかった。
元々友達付き合いが上手じゃないあたしは、
昔から友達を遊びに誘うことが出来ずに、
一人遊びを沢山してきた。
大学でもずっと一人だったあたしに、
声をかけてくれたのが、
唯一、真紀だった。
他人に、心を開くのが、どうも苦手だ。
芽衣ちゃんは屈託の無い笑顔と会話で、
お客さんにも女の子にも接する子で、
少し真紀とも似てる。
仲良くなれそう。
あたしは気分を高揚させながら、急いで服を着替えた。