ネオン

青木さんはにこりと笑顔を見せた。

「うん、いいね。今日体験入店してこうか。」

「体験入店?」

「そ。1日だけ、働いてみて、うちがどうか感じてみて。

お給料は全額日払いね。体入時給は4000円。どう?」



4000円。
1時間で。

今日買った服は全部2万円。

5時間働くだけで稼げるんだ。



・・・やっぱり、すごい世界。


「はい、働きます。お願いします。」

あたしは即答した。



「決まりね。じゃー更衣室でさっそく着替えよう。」




すんなりと事が進んだ。




30分後、あたしはサテンの赤いドレスに着替え、

ヘアーメイクをしてもらっていた。


「どんな髪型にする?」

派遣されているというその美容師はあたしの髪をとかしながらそう聞いてきた。


キャバクラの求人雑誌を見ながら適当に気に入った髪形をオーダーした。


みるみるうちにあたしの髪型は華やかになり、
自分でもわくわくして気持ちが高まるのがわかった。


「似合うねー。この仕事、何年目?」


「初めてなんです。」


「マジで?!嘘でしょ?今日体入?」

美容師は目を丸くしてあたしを凝視した。



「あはは。そうです。めっちゃ緊張してて。」

「一人で初心者で体入ってすごいね~。感心。あたしだったら無理だなあ~。」

そういうものなのかな。




< 6 / 39 >

この作品をシェア

pagetop