ネオン
「はい。完成。どう?」
鏡に映ったあたしはれっきとしたキャバ嬢になれていた。
・・・・ような気がする。
「琴音ちゃん、有名な子と張りあえるよ。めっちゃ可愛い!」
美容師はピンを差しながら言った。
「ありがとうございます。綺麗にしてくれて。」
「うん、頑張ってね。行ってらっしゃい。」
鏡に映る自分をみてなんだか胸がぎゅっと熱くなった。
遠いと思っていた世界。
自分には縁が無いと思ってた世界。
今、こんな身近に、
傍にある。
「うん、似合う似合う。」
後ろから青木が声を掛けてきた。
「よし、もうお店開店するから。さっそく働こうか。」
外見を着飾ったあたしは知らないうちに自分に自信を持ち始めていた。
うん、やれる。大丈夫そう。
「はい。頑張ります。」
「うん。いいね。あ、そうだ、源氏名、何にする?」
「源氏名かぁ・・。そうですね・・・。」
「俺が決めようかな。
愛。どう?
2文字は覚えてもらいやすいし。」
「愛・・・。はい。可愛いですね。それで。」
「うん、オッケー。愛ちゃん、じゃあ行こうか!」
青木に手をひかれ私は店内へ歩き出した。