准教授 高野先生のこと
「自分が生まれた季節というのが関係あるのかわかりませんが、秋が好きです」
先生の人柄は秋を想わせた
穏やかといえば、春だってそうなのだけど、やっぱり、先生は秋だと思う
春のあの軽やかな感じ、色鮮やかな感じは人の心を華やがせる
冬から目覚めて、白い世界が俄かに色めき、鮮やかな色彩を帯びていくあの感じ
それはそれでとても素敵なのだけど…
ざわざわ、そわそわする活気は、妙に心を掻き乱し、私の心を戸惑わせるのだ
うららかさに心を許していたら、寝首をかかれてしまうような…
春って、そういう油断ならない凶器を抱えている…何故かそんな気がしてしまう