准教授 高野先生のこと

どうもおかしなことに、畳み掛けられるのは私のほうだったのである。


「見た目はどんな感じなんですか?」

「あの……背が高くて痩せ型で、眼鏡をかけていて……」

目の前にいるその人の、見たままそのまま。



「どんな印象ですか?例えば、怖そうとか優しそうとか」

「一見……神経質そう、ですかね。あ、本当はそうでもないんですけど」

この印象で、いつも損ばかりしてるその人。



「詩織さんよりも年上ですか?」

「ええ、まあ……」

「ひとまわり違いますか?それとも……」

「いえ、ひとまわりまでは。けど、それに近いくらいは離れてて」

ひとまわりしなくても、十年一昔という事実。


「その人も、僕らと同じこの業界?」

「そうですね」

狭い……あまりにも狭すぎるこの地味な業界。



「その人は、僕も知ってる人……ですか?」


私と先生の連想クイズは、いよいよ終盤をむかえた。



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