准教授 高野先生のこと

“はい”と一言答えることが、言葉が詰まって出来なくて。


こくんと黙って頷くことが、ただそれさえも出来なくて。


先生への想いでいっぱいいっぱいの心をかろうじて表面張力で保っているような。


そんな切羽詰った状況で、身動きなんてとてもじゃないけどとれやしない。


この緊張を一瞬でも解いてしまったら、たちどころに想いの大洪水だ。



なのに……。






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