准教授 高野先生のこと
その相談を持ちかけられたのはちょっと前のことだった。
「でも……ほらっ、女子大だしぃ」
私は真中君を、なんとか諦めさせようと画策していた。
ほんっと自分の性格の悪さ、心の狭さが嫌になる……。
「列記とした理由があれば問題ないだろ?それに君が一緒なら入りやすいし」
「それはまあ……」
「プロ文の話できるの、やっぱり高野サンだからさ。ねぇ、頼むよ」
「うーん……」
真中君の専門は高野先生と同じプロレタリア文学。
私も真中君も並木先生についているけど、並木先生の専門はプロ文ではない。
できれば同じ専門の先生に師事して研究を進めたいと思うのは至極当然のこと。