准教授 高野先生のこと

私はちょっと高をくくっていた。

なんとなく先生が本気でないような気がして。


たぶん私の反応を見て、おもしろがっているのかなって。


私がいちいち、どぎまぎしたり、あんぐりしたり、ぱくぱくしたりするものだから。



だけど――


「僕が、決めちゃっていいの?」


先生の大きな手が、すっと伸びてきて――


「あのっ……」


そして――


「僕が決めていいなら、今夜は……」


先生の手が私の髪に触れて――



私は反射的にぎゅっとぎゅっと目を閉じた。




< 199 / 462 >

この作品をシェア

pagetop