准教授 高野先生のこと

おうちでの先生はオープンすぎるくらいオープンで、且つなんというか……。

誤解を恐れずに言うなら、気遣いゼロって感じ?

“もう何でも好きにしてちょうだい”

“我が家だと思って勝手になさい”

完全に、そういうノリだった。



「お風呂、先にどうぞ」

先生は私に勧めつつ、自分は何やら何処かへ出かける支度をしていた。

「僕、ちょっとコンビニ行ってくるけど。明日の朝、パンでいい?」

「えっ、あ……パンで……パンがいいです!」

「うん。詩織ちゃんは何か買ってきて欲しいものとかある?」

「ないです、大丈夫です、ぜんぜん」

私は玄関へ向かう先生のあとにトコトコついて歩いていった。

「あぁ、バスタオルはクローゼットの中にあるから適当に使って」

「ええっ」

「大丈夫、すぐ見つかるはずだから」

そういう“ええっ”じゃなかったのに……。

「じゃあ、行ってくるね」

先生は私の困惑なんぞは全く意に介さず、あっさり出かけてしまった。



< 226 / 462 >

この作品をシェア

pagetop