准教授 高野先生のこと
結局、先生が着替えている間、私はそれを見物することもなく。
棚に並んだ本やCDやDVDなんかを手持ち無沙汰に眺めた。
すっかり着替えた先生はお風呂を入れに行って、すぐに戻ってきたんだけど。
「ごめん、ちょっと色々片付けちゃうね。その辺、勝手に見たり聞いたりしてて」
「はぁ……」
「見られて困るようなモノは、絶対に見つからないとこに隠してあるから大丈夫」
「な、何を……」
まあね、見られて困るようなモノは無い!なんて言うより男らしい?気はするけど。
それからしばらく先生はまるで私などいないかのごとく片付けに没頭した。
洗い物とか、乾燥機から洗濯物を出したりとか、ちょこちょこちゃかちゃか。
なーんか放置プレイ?って気もしたけど逆にそれが嬉しかった。
私は招かれた人だけど、ただのお客さんじゃないんだなぁって。
こうしてこの空間に、先生の日常に溶け込んでいる感じが心地よい。