准教授 高野先生のこと
「超音速だったから、実感ないです…」
「余韻が欲しいところだよね」
「そうですね、できれば」
だってだって、何しろ私にとっては初めてのキスなのに。
“よく、わかんなかった”などという中途半端な思い出ではあんまりだ。
「じゃあ、やり直し」
「へ?」
思いがけずぽかんと間の抜けた顔を上げると、先生の熱っぽい眼差しにぶつかった。
私は、堪らず……目を伏せた。
「少し、邪魔かな」
先生がそんなことを言いながら、そっと私の眼鏡をはずす。
私は身動きもできずに、ただもう黙ってじっと固まっていた。