准教授 高野先生のこと
先生となら、なんだって平気だと思う
が、しかし…
こういうことばっかりは、どうにもならないと思うのだ
あまりにも衝撃的に痛くて気絶したりとかあるんだろうか…
出血しすぎて貧血とかあるんだろうか…
考えただけで、それこそ血の気が引いていくようだった
「詩織ちゃん?」
「えっ!」
はっとして顔を上げると、先生が心配そうに見つめていた
「大丈夫じゃない、よね?」
適切な付加疑問文の使い方だと思った
「大丈夫じゃないけど、大丈夫です」
ぜーんぜん大丈夫そうに聞こえない、なんて中途半端な答えだろう…
先生は、ふーむと何やらちょっと思案して、それからゆっくりと話し始めた
「こう言ってはなんだけど…」
先生の“こう言ってはなんだけど…”とは、言うまでもなく、失言となり得る言葉の前に置かれる枕詞なのだけど…