准教授 高野先生のこと

そうは言っても悩んでばかりもいられない。

ここはひとつ、いつぞや見せ損ねた?心意気を見せてやろうじゃないか!

そんなわけで――

初めて彼氏ができた22歳は、えいっ!と有言実行を決心したのである。


「あの、風の噂なんですけど……」

「噂?」

「なんか私、そろそろ先生のこと名前で呼んだりするみたいですよ」

あぁ我ながらなんて生半可な“有言”だろうか、情け無い……。


「へぇー、そんな噂があるんだぁ」

知らなかったなぁ、と先生はさも興味深そうに言ったりして。

まったく……。

私は先生のこういうところが大好きなのだと思う。


「まあ、あくまでも噂なんですけどね」

「ふーん、そっかぁ。噂なのかぁ」

「でも、信憑性ありそうじゃないです?」

「あっ、それ僕もそう思う」


なんか、先生と私ってちょっとへんかもしれない。

だけど――

もう絶対に先生とは離れられないなって。

私は心底惚れ直してしまったのだった。



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