准教授 高野先生のこと

お誕生日の歌の一曲でも歌ってあげればよかったのに。

なんて、後悔しても遅かった。

ちょーっと残念な、決まりわるーい雰囲気が漂って、二人で思わず苦笑する。

「詩織ちゃん、『ドラゴンボール』ってマンガ読んだことある?」

「ありますよ」

いとこのうちにあったので1巻からかなりしっかり読んだもの。

「せっかく神龍(シェンロン)に願い事ができるってときになってさ……」

「“ギャルのパンティおーくれっ!”とかしょーもないこといっちゃうんですよね」

神龍は死んだ人を生き返らせることだってできるのに。

あぁ、なんともったいない。


先生がため息をつき情けなさそうにふっと笑う。

「なんだかなぁ、もう……」

「まあまあ、元気だしてくださいよ」

元はといえば私のおふざけがいけないのだけど。

まあ、それはそれ?みたいな。

私はバッグの中から徐にリボンのついた縦長の包みを取り出した。

朝一番に渡すつもりだったのに、なんだかずっとタイミングを逸していたプレゼント。

「“ギャルのパンティ”じゃないですけど消耗品です」

あー、もう、また私はバカなことを言っちゃうし。

「開けてもいい?」

「もちろんです」

「じゃあ、さっそく」

先生は嬉しそうに微笑むと、包装紙をそっとそっと丁寧に開いていった。


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