准教授 高野先生のこと
今日は先生の誕生日だから。
こんな日くらい、私が先生に色々してあげたかったのに……。
「期待してって言ったのに……結局私がしてあげたことなんて、ぜんぜんでしたね」
白い食器と布巾の漂白してあげて?
4丁目に近い辛さのカレー作って??
ケーキに33本もロウソク立てて???
「“ぜんぜん”なんてことないよ。ハイ、あーんして」
「んっ……あ、桃の味」
「真ん中のクリームに入ってるんだね」
しかも、なんもしてあげてないうえに何故か先生にケーキを食べさせてもらってる。
この状況っていったいどうだろうか……。
「先生にも“あーん”してあげますよ?」
「うんん、僕はいいや。ハイ、次は苺」
「んっ……けっこう……甘いかも」
「あの噂、あれから何か聞いてる?」
「ん?あの噂って……あぁ、あれですね……」
風の噂……。
私が先生を名前で呼ぶらしいという……。