准教授 高野先生のこと

プレゼントの時と同様にすっかりタイミングを逸していた。

ホントは――

ケーキ登場で盛大に“おめでとう”って言う辺りでひとつどうにかできないか、と。

勢いにまかせて?どさくさにまぎれて?なんて算段していたのだけど。

なにしろそれどころじゃなかったから。

メラメラ燃える33本の炎とダラダラ垂れるロウに気をとられて。

とてもじゃないけど、ぜんぜんだった。


「噂が本当だったらいいのになぁ」

「えっ」

「願い事って差し替え可能かな?」

「不老長寿と?」

「そうそう、そいつと」

「大丈夫、じゃないですかね……たぶん」

実際は神様へのお願い事をそんなフレキシブルに変更できるわけがないけど。

「じゃあ、差し替えで」

「……」

「詩織ちゃん?」

「あの……」

「ん?なに?」

「……寛行、さん?」

何故に疑問形なのだろう……。

そうして私は本日二度目の頭突きを“寛行さん”にくらわせた。


< 305 / 462 >

この作品をシェア

pagetop