准教授 高野先生のこと

二十歳って年齢のほうに思わず衝撃を受けてしまった。

けれども卒業と同時に入籍ということは、つまり……。

田丸先生は奥さんがまだ在学中のときから付き合っていたということになる。

そう、秋ちゃんと夏川さんのように。

「オレはさ、ちょっとどうかと思うわけ」

森岡先生はいかにも難色を示すように、ちょっとばかり顔をしかめた。


「鈴木さん、黒板に学会タイトルと演題貼っていくから手伝って」

「あ、はいっ」

先生は大教室の可動式の大きな黒板のスイッチを入れた。

ゆっくりとした動きで最背面にあった黒板が一番下に移動する。

私は小走りで黒板の前に寄っていき、先生の作業を手伝った。

「じゃ、君はそっち持って」

「はい」

話の続きは保留のまま。

二人で分担して、やや横長の紙の端を持つ。

森岡先生は教員と学生の恋愛をあまりよく思ってないに違いない。

でも――

だったら私と高野先生を近づけさせるわけが無い。

なのに?実際やっていることは正反対のことばかり。

いったいぜんたい、先生はどういうつもりでいるのだろう???


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