准教授 高野先生のこと
演者による発表も大御所の先生による基調講演も全て滞りなく終了。
しかしながら、学会はこれで終わりじゃない。
「僕と森岡はもう出てしまいますが、二人は後から田丸たちと来るといいでしょう」
高野先生はそういい残して足早に懇親会の会場へと向かってしまった。
何を隠そう今日のバイト料は薄謝+懇親会にタダで出席、なのである。
私は話題も少なく、初対面の人とすぐに打ち解けて話すなんて大の苦手。
お酒だってあまり好きってわけでもないし。
それでも懇親会に出てみようと思ったのは会費がタダって理由じゃない。
そういう席での高野先生の振る舞いを見てみたいと思ったから。
普段は見ることの出来ない授業以外のお仕事モードの先生の姿を。
一人でのり込んでいく勇気はないけれど、社交的な真中君が相棒だから心強い。
懇親会に不参加の先生方にひとしきり挨拶を終えた田丸先生が――
「真中クーン、鈴木サーン、お待たせー」
ブンブンと両手を振りながらでっかい声で私たちを呼んでいる。
「田丸サン、声でかすぎだよなぁ……」
「目立つ、よね……」
そのとき――
バッグの中のケータイがけたたましく振動してメールの受信を知らせてきた。
高野先生からのメールだ。