准教授 高野先生のこと
そういえば、高野先生は午前中からちょいちょい写真を撮っている。
「記録として残して来期の事務局のかたに引き継ぐんですよ」
他にも演者のかたを撮って本人に記念に差し上げたり。
それに会報の記事で発表風景の写真を使うのだと先生は教えてくれた。
「ボク、高野サンと一枚いいですか?」
真中君が上目遣いで先生を見ながら遠慮がちに申し出た。
「かまいませんよ、僕でよければ」
「やった!シオリン、カメラよろしく」
大喜びの真中君をおやおやと笑って眺める高野先生。
釈然としないながらも私は二人をキレイに一枚撮ってあげた。
ちょっとずるいなって、羨ましいなって思いながら……。
「サンキュッ!じゃ、次はシオリンの番」
「えっ」
真中君がさっとカメラを奪い取り、ニヤニヤ笑って、並べ並べと私を急かす。
ちょっぴり戸惑いながらも、いそいそと先生の隣りに並ぶ。
嬉し恥ずかしで、困ったなって笑顔で先生を見上げる私。
そんな私を、参ったねって優しい笑顔で見下ろす先生。
瞬間――
「ハイ、いただきましたーっ」
「「ええっ!」」
真中君はなかなかの業師だ。
きっと、自分を撮ってと申し出たのも私への配慮。
そんな親友をズルイだなんて……。
私は僻んだ自分を心の中で深く恥じ、真中君に感謝した。