准教授 高野先生のこと

携帯電話の画面を見ながら思わず一人でくすりと笑う。

だって高野先生が森岡先生に怒られている様子が簡単に想像できたから。

「シオリン、行くよ?」

「えっ、あっ、うん」

私はケータイをパタンと閉じてゴソリとバッグにしまいこんだ。

「ボク、なんだか楽しみだなぁ」

「私も……ちょっと楽しみかも」

接待で大忙しの高野先生を観察するべく私ははりきって懇親会の会場へと向かった。



本日の学会の懇親会にタイトルをつけるとするならば――

“ドキッ!男だらけの懇親会!

 ポロリは……無いよ?”

なんとなんと、女性は私たった一人。

これはまったく考えてもみなかったことで、まったくの想定外。

そして、それは思いの他とてーも居心地が悪かった。

だってだって、ただ居るだけで存在しているだけで浮いてしまうのだもの。

どれくらい浮いてるかって、田丸先生と五分張るくらいに……。



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