准教授 高野先生のこと
私と寛行さんは、今日12月23日を勝手に、“トリを貪り喰う日”と制定した。
“トリ”というのは、別にフツーに売ってるケンタッキーのあれなんだけど。
私が断固頑なにチキンを“トリ”と言い張っていたら、いつの間にか……。
気がつくと寛行さんまで、チキンを“トリ”と言うようになってるし。
「じゃあ、“トリ”とケーキを受け取って……それから、他に何かある?」
「うんん、ぜんぜんない」
外に食事に行ったりするよりも、おうちですごすほうが断然いい。
私はクリスチャンではないけれど、大事な人とおうちであたたかく過ごすのは、
とても正しいクリスマスの過ごし方だなぁなんて思う。
「今日って、トナカイ忙しいのかな?」
「そりゃあそうだよ、トナカイ不足で忙しくて、てんてこまいなんだよ」
「ふーん、そりをひくだけじゃないんだもんね、仕事」
ときには良い子のうちへ御用聞きへまわり、場合によっては手紙の執筆まで依頼する。
それにしても、どうしてこんなに寛行さんはトナカイ事情に詳しいのだろう?
その他諸々いろいろ疑問はあるけど思いやりで聞かないでおいてあげよう……。