准教授 高野先生のこと

テレビの特番を見ながら、トリをムシャムシャ貪り食う。

お腹が落ち着いたら、いつもどおり一緒に仲良くザブザブとお風呂。

すっかりパジャマに着替えて、しっかり半纏も着こんで。

満を持して冷蔵庫の中のクリスマスケーキを出した、のだけど――

「お腹、いっぱいだよね……」

「うん……」

あまりにもトリを貪りすぎて、別腹であるはずのケーキも入る余裕が見当たらない。

「明日の朝にしよっか」

「冷蔵庫入れとけば大丈夫だよね」

「僕、せっかくだから写真撮ろうっと」

「今日と明日ではケーキの表情が違う?」

「そうそう、その瞬間瞬間の表情を……」

そうして、ケーキは手をつけられることなく今日の表情を写真に収められ。

キレイに元通り箱にしまわれ、再び冷蔵庫へ。

寛行さんは慎重にケーキの箱を冷蔵庫に戻しながら、こちらを見ないまま言った。

「そういえば、田丸にクリスマスカードを送ってくれたんだって?」

実はクリスマス礼拝があった日、私は学内にあるポストに投函していたのである。

「結婚報告のハガキが来ていて、君にもよろしくってあったよ」

「えーっ!ハガキ見たい!」

田丸先生の奥さんがどんな人なのか興味津々!

寛行さんが見せてくれたハガキには、婚礼衣装を着た新郎新婦の写真があった。

「奥さん……なんていうか、男の人が守ってあげたくなるタイプ?ですよね」

「まあ、そうなのかな」

新婦は透き通るような白い肌のそれはそれは美しい花嫁だった。


< 430 / 462 >

この作品をシェア

pagetop