准教授 高野先生のこと
テレビの特番を見ながら、トリをムシャムシャ貪り食う。
お腹が落ち着いたら、いつもどおり一緒に仲良くザブザブとお風呂。
すっかりパジャマに着替えて、しっかり半纏も着こんで。
満を持して冷蔵庫の中のクリスマスケーキを出した、のだけど――
「お腹、いっぱいだよね……」
「うん……」
あまりにもトリを貪りすぎて、別腹であるはずのケーキも入る余裕が見当たらない。
「明日の朝にしよっか」
「冷蔵庫入れとけば大丈夫だよね」
「僕、せっかくだから写真撮ろうっと」
「今日と明日ではケーキの表情が違う?」
「そうそう、その瞬間瞬間の表情を……」
そうして、ケーキは手をつけられることなく今日の表情を写真に収められ。
キレイに元通り箱にしまわれ、再び冷蔵庫へ。
寛行さんは慎重にケーキの箱を冷蔵庫に戻しながら、こちらを見ないまま言った。
「そういえば、田丸にクリスマスカードを送ってくれたんだって?」
実はクリスマス礼拝があった日、私は学内にあるポストに投函していたのである。
「結婚報告のハガキが来ていて、君にもよろしくってあったよ」
「えーっ!ハガキ見たい!」
田丸先生の奥さんがどんな人なのか興味津々!
寛行さんが見せてくれたハガキには、婚礼衣装を着た新郎新婦の写真があった。
「奥さん……なんていうか、男の人が守ってあげたくなるタイプ?ですよね」
「まあ、そうなのかな」
新婦は透き通るような白い肌のそれはそれは美しい花嫁だった。