准教授 高野先生のこと

「寛行さん、実は引いてる……?」

「引くわけないじゃない。えーと、とても感激しております」

「ほんと?」

「うん。でも、いきなりどうしたのかなって、少し気になってはいるかな」

「それは……心意気というものです」

「そっか。その心意気やよし!だね。じゃあ、さっそくはりきって」

「歯磨きしなきゃ」

「今夜もちゃんと10分磨くぞ、と」

寛行さんは勢いつけて起き上がり、私をよっこらしょっと引っ張り上げた。


夜の歯磨きに余念がない私たち。

始まりのキスは、いつだって歯磨きテイスト?だったりする。

そしてそれはやっぱり今夜も相変わらず。

「今度、バナナ味のを買ってこようか」

「うーん、私はメロンがいいなぁ」

うっとりとロマンチックな雰囲気とは、どこか何かが違うかも。

それでも――

二人ですごすこの時間が、あったかくって安心できて、やっぱりすごく心地よい。



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