准教授 高野先生のこと

駐車場へ向かって、遊歩道の元来た道を歩いていく。

手をつなぐでも腕をただ組むのでもなく、私はなんというか……。

カブリとかぶりつくように彼の腕をしっかり掴んでくんくんする。

「あーあ、ラストくんくんかぁ」

「ラスト?」

「今年はもう最後だもん」

「“くんくん納め”?」

「うん。あー、納めたくない……」

「年が明ければ、“くんくん始め”だよ」

「それはそうだけど……」

わかっちゃいるけどやめられない、あぁ、やめられない……。

私は自分で意識したことはなかったけど、実は甘え上手なのかもしれない。

一人っ子で、おまけに親戚中で一番年下で、大人の中で育ったせいもあるのかも。

だけどきっとそれだけじゃなく、寛行さんが甘えさせ上手だからに違いない。


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