准教授 高野先生のこと

噴水はやっぱりカラカラで冬眠中?だった。

「冬の公園って、ちょっと淋しいね」

「明るい色が少ない季節だからね」

白に茶色、グレーに、それから……冬っぽい色って他には何があるだろう?

「だけど、こんな風に人が少ないと」

寛行さんは立ち止まり――

「こんなことしても、けっこう平気」

「っ……!」

私をひょいと引き寄せて、あっという間にキスをした。

外で……というか、おうち以外の場所でキスしたのはこれが初めて。

「ちょっと、びっくりした……」

「人がいないときだけだよ」

「ん。あのね、まだ……人、いないよ?」

「じゃあ、もう一回?」

「おかわり自由なの?」

「うん。トナカイと同じなんだ」

そうして今度は、びっくりじゃなく、うっとりするようなキスをした。


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