准教授 高野先生のこと
「詩織さん、決して誤解しないで下さい」
高野先生は、一瞬遅れてはっと気づいて――
「ええと、美人というのは……」
そして、訂正を試みた。
「僕の言った美人はピカピカと光ってるような女性です」
たぶん、キラキラと輝いている女性とは全く別物という意味だろう。
言わんとすることはわかった。
「私は、ちっとも光ってないですしね」
だけど、わからないフリをした。
「そんな……」
「いいんです、私なんて」
「詩織さん……」
先生がちょっと困っているのがわかった。