准教授 高野先生のこと

「僕は詩織さんをいぶし銀のような人だと思っています」


たぶん、落ち着いていて、味があるって言ってくれているのだろう。

言いたいことはよくわかった。


「どうせ私は地味ですから」

だけど、わからないフリをした。


「どうせって……」

「どうぞ、お気遣いなく」

「詩織さん……」


先生がすごく困ってきてるのがわかった。


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