Cold Phantom [前編]
「長池先生!?」
と、隣にいる看護婦が突然先生に怒鳴った。
「あ、すまない。独り言だよ気にしないで。」
先生はそう言って私に視線を向ける。
「多分ストレスによる逆向性健忘、と言うところかな。ほら、良くドラマとかでも使うやつ。」
「ストレス?」
「まぁ、断定は出来ないけど。また明日診察するとして、今日はゆっくりと休んでいた方が良い。」
そう言って長池先生は立ち上がった。
が、私がそれだけの会話で納得するわけがなかった。
何かを隠す為に逃げているともとれそうな行動を前に、いつの間にか私の手は長池先生の腕を掴んでいた。
「せめて、私の名前くらいは教えて下さい。」
「…」
先生は私の手を優しくほどき、胸ポケットから小さな紙を取り出した。
その紙は今にも朽ち果ててしまいそうなほど色褪せていた。
「君が倒れていた所にそれがあったんだ。多分君の名前なんじゃないかな。」
「倒れていた?」
と、隣にいる看護婦が突然先生に怒鳴った。
「あ、すまない。独り言だよ気にしないで。」
先生はそう言って私に視線を向ける。
「多分ストレスによる逆向性健忘、と言うところかな。ほら、良くドラマとかでも使うやつ。」
「ストレス?」
「まぁ、断定は出来ないけど。また明日診察するとして、今日はゆっくりと休んでいた方が良い。」
そう言って長池先生は立ち上がった。
が、私がそれだけの会話で納得するわけがなかった。
何かを隠す為に逃げているともとれそうな行動を前に、いつの間にか私の手は長池先生の腕を掴んでいた。
「せめて、私の名前くらいは教えて下さい。」
「…」
先生は私の手を優しくほどき、胸ポケットから小さな紙を取り出した。
その紙は今にも朽ち果ててしまいそうなほど色褪せていた。
「君が倒れていた所にそれがあったんだ。多分君の名前なんじゃないかな。」
「倒れていた?」