Cold Phantom [前編]
「厳密には…そこにいた。って言うべきなんだろうけど。」
「?」
私は先生の言っている事が良く解らなかった。
でも、こうして病院にいると言う事はやはり何かがあったとしか考えられなかった。
何があったのか、気になって仕方なかった。
「あの、私は何か事故にあったりしてました?」
「事故には少なくとも合ってないね。あってたらギブスも着けているだろうし。」
そう言われて私は腕や足を初めに体を軽く叩いたが、それらしいものは見受けられなかった。
「それなら、何で病院に…症状は何なんですか?」
「う~ん、多分としか言えないけど、ノイローゼかな。まだ診察していないんだ。解らないよ。」
「…。」
先生はそう答える。
先生は嘘をついてはいないようだった。
私の症状について解っていないのは確かなようで、考える素振りもしなかった。
だからこそ、不思議に思う事が山積みになっていた。
そして、聞きたい事はそれ以上に山積みだった。
「私は…何処で倒れていたんですか?」
その中でも一番知りたい質問を聞いた。
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