世界の終りに恋の歌を
王子がそっと、人魚の姫の手をとり、自分の胸にあてました。

「銀のナイフで私の心臓を一突きにしてもよろしいですよ。そうすれば、呪いは解けます」

人魚の姫は唇を噛んで王子の顔を見上げていましたが、

王子の表情がいつもよりも硬く、また、優しい笑みも向けてくれそうにないことがわかると、王子のその手を乱暴に振り払い、黙って海へ帰って行きました。

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