パセリな彼女がついた嘘
入った頃には客もまばらだった居酒屋は、
僕たちが酔う頃には満席に近く、賑やかだった。

会計を僕が済まして店の外に出ると、
彼女は割り勘より少し少ない千円札を何枚か、僕に渡した。

「いいよ、そのかわり、」

そこで彼女は僕を完全に見透かして、

「いやらしー」と言ってお札をひらひらとさせた。

僕がその反対側の手を掴んで繋ぐと彼女は、
「今日その銀行は引き出しできる日だったの?」

と上目遣いに尋ねてきた。

その発言が何かより、表情に心を奪われていると、

「パチンコ?スロット?どちらかでしょう?」
と続け、僕の顎をお札で叩いた。
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