パセリな彼女がついた嘘
『同期の子は昨日から彼氏が来ていてね、
空港まで車で迎えに来てもらってて。
なんかそれ見たら、悦司に、会いたくて、ごめん』

いつになく素直な彼女を愛しく思った。
けど、そんな気持ちを伝える資格があるのか。

僕は、今しがた他の女性の家から、出てきたばかりだ。

「謝らなくていいよ、今は、家?大丈夫?」

『うん、上陸はしないかもしれないけど、雨強くなってきてる』

「そっか、こっちも雨なんだ」

『そうみたいだね、でもそれがちょっと嬉しい』

「どうして?」

『悦司が東京で、今夜は月が綺麗だよなんて言われたら、
私、なんだか違う世界にいるみたいじゃん』

「ずる休みして会いに行こうか?次の休みまで頑張れる?」
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