パセリな彼女がついた嘘
浮気の原因を【寂しかったから】で済ますのは、
なんと愚かなことだろうと思っていたけれど、

『ばか、休めないくせに。私もずる休みしたいけど、頑張るね』


やっぱり僕は寂しい。


今、明日の仕事やすべてを捨てて彼女が会いに来たら、
僕は二度と過ちは犯さないはずだ、きっとそうだ。


【遠距離恋愛】


それをするには彼女は大人すぎて、僕は子供すぎた。

電話を切った僕は瑠璃子さんから借りた傘を閉じて、雨に濡れてみた。

雨が冷たいのは、冬の布団の冷いのは、
なんてことない、ただ常温なだけだ。

周りの空気と同じ温度なだけだ。

僕はなんとも身勝手で、自分の体温にすら気付くことができない。

そればかりかいつも、誰かのやさしさに甘えるばかりだ。
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