パセリな彼女がついた嘘
代表取締役と言う肩書きに似合った白いカッターシャツに、
ブランド物のカフス、老舗ブランドの腕時計を身につけ、
無造作に仕上がる少し長めの黒髪は、パーマではなくクセ毛だと言う。

主に仕事の話を恐らく高級な白ワインと共に交わした。

僕がその店の価値を舌で実感したのは、
松茸の土瓶蒸しを食べた時だった。

小田切さんは一緒に焼きおにぎりを注文した。

塗り物の器に入る、小さめに握られた上品なそれが登場すると、
土瓶蒸しを上から注ぎ、お茶漬けのようにして食べるよう僕らにも促した。

学生時代の先輩や会社の上司とも違うその立ち振る舞いに、
須藤の言う彼の魅力が存分に汲み取れた。
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