ギア・ドール

 タバコの中に仕込んでいた、超小型爆弾が爆発したのだ。


 二年前、私の大切だった二人を奪い去って行った音。


 未だに、彼らのお墓が作られることはない・・・・。


「さて・・・鬼が来るか?蛇が来るか?」


 恐怖をごまかすために、わざと声に出す。


 正直、どちらにも来て欲しくない。


 五重にかけられた鍵がいっきに破壊され、衝撃によって形が少し変形する扉。


 外に出るには問題ない。


 ただし、外に誰もいなければ・・・という前提条件がつくが・・・。


「何事だ!」


 扉の隣の壁に身を潜めて待つこと数秒。


 二人の虎神兵が、剣幕をまくしたて部屋に入ってきた。


 両手にハンドガンを構えているのが見える。


 女性兵が来るコトを祈ったが、残念なことに両方とも恰幅のいい男性兵。


 まぁ、この際あまり贅沢はいえない・・・。


「せいっ!」


 それは本当に一瞬の勝負。


 私は掛け声と共に、扉の影から飛び出すと右側に立つ男性のわき腹に、思いっきり蹴りを入れた。


「!」


 声も上げずに、倒れこむ男性。


「なっ。」


 即座の出来事にもう一人の男性兵も一瞬何が起こったのか、わからないのか混乱する。


 そんな隙を見逃すほど、私は甘くない。

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