ギア・ドール
「!」
奥歯をかみ締め、もう一人の兵士の懐にもぐりこむと、真下からあごに向けて、強烈なアッパーカットを繰り出す。
もちろん、手にライターを握って、威力を上げることも忘れない。
先ほどの兵士同様に、倒れる虎兵。
一応、用心のために両者から拳銃を取り上げると、私は銃口部分を握り締め、両者の延髄を取っ手の部分で思いっきり殴りつけておいた。
殺してもよかったのだが、こんな場所で無駄弾を使うわけには行かない。
これで、しばらく二人は目を覚まさないはずだ。
その間、わずかコンマ数秒。
これでも、施設にいた頃から格闘の成績だけは良かったのだ。
この程度の男たちに負けるわけがない・・・。
私は、気絶した二人を独房の中に引きずり込むと、片方の服を奪去り、装着して帽子を深めにかぶる。
女が、男の軍服を着るのだ。
違和感はぬぐえないが、この際仕方がない。
そして、もう片方の男の軍服で二人を縛り上げ、口をふさぎこむと、私は独房を後にする。
こんなものは、まだ前哨戦。
本番はこれからだ。