西の狼
このエルザは、そのバトルドールの中でも最高の能力を持つ個体だ。その姿から、敵方からは『告死蝶』と呼ばれていた。しかしそれは十年近く前のガバレント戦役の時の話…今は、このディアルド神父の下で神に仕えるシスターなんかをやっているのだ。
「やれやれ…血の気の多さは相変わらずだな、お前は。」
「…ガラルド様…」
どうやら血の気が引いたのかその口調は穏やかだった。四人は武器を退けた。エルザはゆっくりと立ち上がって埃を払った。
「…申し訳ありません、神父様…」
「いいさ。次は、こんなことにならないようにね?」
「…はい…」
神父はなだめながらエルザの頭を優しく撫でた。その感触に、エルザは少し頬を赤らめた。その光景は、まさに親子だ。
「…それで、ディアルド神父はなぜここに…?ただの顔見せという訳でも無いだろ?」
ガラルドの問い掛けにディアルド神父はエルザの頭から手を離した。
「そうでした…女王陛下。帝国兵達が魔物に変じたと伺いましたが…それは、恐らく古代の魔法ではありません。」
「古代の魔法では無い、と…?」
「はい。」
「ですが、ガリオが確かに古代の魔法の中にはその様な魔法があると…」
「…確かに、古代の魔法の中には、その様な忌わしい禁忌の魔法が存在しますが…今回の例は違う様に思うのです。」
「…では、今回のことは一体…」
「…恐らく、『呪法』ではないか、と…」
「そんな…それこそ禁忌ではないか!」
アイナは信じられないといった感じの表情を浮かべている。そこにガラルドも付け加えた。
「そうだなぁ…俄かには信じられん話だが…第一、今時呪法を使う奴なんているのかねぇ…」
ガラルドの何気ない言葉にディアルド神父は敏感に反応した。
「…おりますよ…呪法の使い手…帝国の中に…!」
「やれやれ…血の気の多さは相変わらずだな、お前は。」
「…ガラルド様…」
どうやら血の気が引いたのかその口調は穏やかだった。四人は武器を退けた。エルザはゆっくりと立ち上がって埃を払った。
「…申し訳ありません、神父様…」
「いいさ。次は、こんなことにならないようにね?」
「…はい…」
神父はなだめながらエルザの頭を優しく撫でた。その感触に、エルザは少し頬を赤らめた。その光景は、まさに親子だ。
「…それで、ディアルド神父はなぜここに…?ただの顔見せという訳でも無いだろ?」
ガラルドの問い掛けにディアルド神父はエルザの頭から手を離した。
「そうでした…女王陛下。帝国兵達が魔物に変じたと伺いましたが…それは、恐らく古代の魔法ではありません。」
「古代の魔法では無い、と…?」
「はい。」
「ですが、ガリオが確かに古代の魔法の中にはその様な魔法があると…」
「…確かに、古代の魔法の中には、その様な忌わしい禁忌の魔法が存在しますが…今回の例は違う様に思うのです。」
「…では、今回のことは一体…」
「…恐らく、『呪法』ではないか、と…」
「そんな…それこそ禁忌ではないか!」
アイナは信じられないといった感じの表情を浮かべている。そこにガラルドも付け加えた。
「そうだなぁ…俄かには信じられん話だが…第一、今時呪法を使う奴なんているのかねぇ…」
ガラルドの何気ない言葉にディアルド神父は敏感に反応した。
「…おりますよ…呪法の使い手…帝国の中に…!」