西の狼
「…恐らく、連邦と共和国は共にこちらに和平を持ち掛けて来るでしょうな…」

「えぇ…では、大使が通るであろう道を選び出して下さい。」

「…確かに、今の状況で安易に大使を送り出しては来ないでしょうが…帝国もただで大使を通す気はさらさら無いでしょう…となると、こちらから迎えをだすのが最良…分かりました。明日また伺わせて戴きます。」

「お願いします。ディアルド神父…」

「はい。行こう、エルザ。」

「はい、神父様。」

二人は揃って部屋を出て行った。

「…流石、元王族親衛隊技術顧問…その腕は健在という訳か…」

「はい…事実、神父様はエルザの調整を一人でこなしているようですしね…でなければ、今頃エルザはまともに動くことすら叶わないでしょうね…」

「あぁ…それで、迎えは誰を寄越しましょうか…?」

ガラルドは女王に向けて言った。

「…それは、その時によって決めましょう。場合によっては、騎士団を率いて行って貰うかも知れません…」

「…まぁ、仕方ないか…」

「その時は、いつでも参りますよ。」

「今回は、私も準備をしておきます。」

「お願いします。三人共…」

「「「はっ。」」」

三人は同時に頭を下げた。

「では、俺はこれで…」
「私も、失礼致します。」

「えぇ。ありがとうございました。」

ガラルドとガリオとアルバートは部屋を出て行った。

「…やっぱりアイナさんは…」

「まぁ、そりゃそうだな。妹を殺したのが、バトルドールだったんだからな…」

「しかし、あれは製作段階でミスが生じた失敗作だったのでしょう…?」

「喩えミスだったとしても、殺したのはバトルドールだ。その事実は変わらない。」

「…そうですね…」

「どの道俺達がどうこう出来る話じゃねぇよ。こればっかりは、自分でケリ着けなきゃなんねぇのさ。」
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