西の狼





それから三日後、ディアルド神父が大使が通って来るであろう道を弾き出した。

「まず共和国の大使ですが…恐らくランドハイル渓谷を通って来るでしょう。ここは、帝国からも目を付けられにくく、発見される可能性が最も低い。しかし発見されれば、その地形から乱戦…下手をすれば全滅しかねない危険な道でもあります…なので、こちらにはガラルド様に行って貰いたいのですが…」

「分かった。今すぐ発った方が良いいんだろうな…」

「えぇ。密偵の報告を聞きましたが、恐らくはあと二、三日で渓谷に差し掛かる可能性が高い。なので、なるべく急いで貰いたい。もしかすると、本当に帝国に補則されていないとも限りませんから…」

「分かった。では、天狼騎士団を率いて行こう。」

「お願いします。」

ガラルドはマントを翻して部屋を出て行った。

「…では、次に連邦ですが…こちらはガレット森林地帯を通って来るはずです。ここなら帝国も補則が難しいはず。補則出来ても、森林地帯を上手く抜けることも可能です。なので、こちらには機動力のあるアイナ様と紅薔薇騎士団に向かって貰いたいのです。」

「了解した。では私もすぐね発つとしよう。では、陛下…」

アイナは女王に向けて頭を下げた。

「えぇ。お願いします。」

アイナは部屋を出て行った。

「残った我々は、どうしましょうか…」

アルバートが不安そうな顔でディアルド神父に尋ねた。

「アルバート様達には、周辺地域の哨戒をお願いします。ですが、必ず三人一組で哨戒して戴きたい。帝国がいつどんな手段で攻めて来るか分かりませんからな。」

「了解しました。」

アルバートは女王に軽く会釈して部屋を出て行った。

「私はここにいよう。何かあれば、連絡すればいい。」

シルフィードはこの部屋から動く気はなさそうだ。これではまるでシルフィードの方が親衛隊のようだ。
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