西の狼
「………あの子が…悪いのよ………!!」
ようやく口を開いた母親だったが、その口調には激しい憎悪が込められていた。
「私達夫婦には、子供が生まれなかったわ。それでも、頑張って生活していたのに……いつもいつも、周りからは陰口を叩かれるだけ…………いっそ、死のうと思ったわ……何度もね………でも、そんな時にあの子を見つけて…………無我夢中だったわ。あの子を拾って、急いで家に帰って主人に見せたわ。あぁ、この子は私達夫婦の為にやって来た子なんだ……って、バカみたいにはしゃいで………幸せだったわ…それなのに、あの子は…………!!」
母親はよほど嫌な記憶なのか、歯を食いしばっている。
「……あの子を拾って、6年くらい経った冬だったわ……主人が食材の買い出しに出てて、私が店の掃除をしてる時だったわ………あの子が急に奥からフラフラと歩いて来て、私が何を聞いても答えずに……私に、無言で包丁を突き刺そうとして来たのよ!!」
「なん……だと…?」
「そんな………イレールさんが……」
母親が語ったことは、余りにも信じがたい話だった。
だが、そこにジブリールとレオールが帰って来た。
「……ご主人の容態はどうだ?」
「あぁ、命に別状はないそうだ。2、3日休めば大丈夫だそうだ。………そっちは、何かあったのか?」
「…………ちょっと、な………」
四人は母親を一階に魔方陣で拘束しておき、部屋に戻った。
レオンとロジャーは、母親から聞いた話を二人に聞かせた。