西の狼
「これは………」
「明星の小手……かつてブリュンヒルデが使っていたとされる魔導具じゃ……光を自在に操り、盾にも矛にもなる…」
「小手の握り方で魔力を調整し、念じることで自由に発現させることが出来ます。この力を、貴方に授けます。この力で、叛逆の英雄を………」
アルマが話していたその時、どこからか大きな爆発音が響いて洞窟を揺らした。
「この音は……!?」
「侵入者のようじゃのぉ………丁度いい。レオン殿、ちょっと行って退治してきてくれんか?」
「………良いだろう……一人で行かせて貰いたいのだが……」
「ふ、良かろう………」
「長老様ッ!!」
声がした洞窟の入口に目をやると、傷だらけの戦士が息を切らしながら駆け込んで来たところだった。
「何事じゃ!」
「……調査に向かった部隊が、全滅……討伐に向かった本隊も、もう……ッ!」
戦士はなんとかそれだけ伝えると、糸が切れた人形のように力なく地面に倒れた。
「…急いだ方が良さそうだな……」
「お急ぎなされ、レオン殿!!」
レオンは長老に言われるのと同時に駆け出した。
「……ぐ、くそ……ッ!」
フォルカスは木の根元に座り込んでいた。
体のいたるところに傷を負い、手にした剣は真ん中から折れている。
その視線が映すのは、同じ様に傷だらけで地面に倒れている。
ほとんどの者は、既に亡骸と化しているだろうか………
そして、その凄惨な光景の中に佇む、三つの人影………
「なんだよ、伝説のワルキュリアの一族もこんなもんかよ。大したことねぇなぁ……」