西の狼
そう言ったのは、漆黒の軽装鎧に両腰に剣を提げた男だ。
「このまま全員皆殺しにするのもいいかもなぁ……」
「そんな馬鹿なこと考えてると、また足元すくわれるわよ?」
そう言ったのは、引き締まった四肢が目立つ女だ。
「……チッ…分かってるよ、そんなことは……」
「………はぁ、ホントにしょうもない奴……ねぇ、アリアン?」
女はそう言ってもう一人の女に首を向けた。
女は長い杖にローブを纏う、小柄な女だ。
「…………………」
しかし女は空を眺めたまま動かない。
「……あら、興味無かったかしらね?」
「……何か、来る……」
「え……?」
「気にすんなよ、アリアン。どうせこいつらの仲間だろう?」
「…………違う………」
「……あぁん……?」
「………ワルキュリアの一族の魔力じゃない………これは………約束の皇子………」
「!?な……ッ!?」
その時、アリアンが見つめていた空の彼方から、黄金に輝く光の矢が高速で三人のいる場所目掛けて向かって来ていた。
「ッ!?アリアンッ!!」
「……分かってる……」
アリアンが二人を庇う様に前に出て杖を矢目掛けて構えた。
「……アイシクル・ストーム………」
すると杖の先から巨大な青い魔方陣が広がり、そこから強烈な吹雪が光の矢目掛けて放たれた。
吹雪と光の矢は空中で激突して、大爆発を起こした。
その衝撃で周囲の森は吹雪を受けて凍り付き、散った光の矢の余波で砕け散った。
「……相変わらずシャレになんねぇ威力だな、アリアンの魔法は………」