西の狼


「……良いだろう……!!」


グレンが短く応えると、その両目の光が更に強く輝いた。



「吠えろッ!エンリルッ!!」


グレンはエンリルを振るって風の刃をダリウス目掛けて放った。



「甘いッ!!」


だが風の刃はダリウスの月夜魅にあっさりと叩き折られて、分散した風はダリウスの背後に落ちて砂を巻き上げた。




「この程度か…英雄王……ッ!?」



ダリウスが顔を上げた時、グレンは姿を消していた。



「どこにいった!?」



しかし、その瞬間背後から殺気を感じたダリウスはほぼ反射的に月夜魅を背後に振り抜いた。



すると、月夜魅はグレンの魔剣の一撃とぶつかった。


「………驚いたな……感覚だけでかわすとは……」



「………何をした……?」



「これが、極光の魔眼の力だ……」


「何……?」



そこで二人は互いに弾き合って距離を離した。




「光化能力……魔力を打ち込んだ地点に、体を光と化して高速で移動する力だ。あくまでも応用だがな」




「……厄介極まりないな……ならば、こちらも全力を賭して挑もう……!!」



ダリウスは月夜魅を体の前に地面に水平にして構えた。




「……黒紋招来……来れ、黒霊(コクリョウ)……!」



ダリウスが呪文らしきものを唱えると同時に足元に漆黒の魔方陣が広がり、そこから紫色の雷を放ちながら数体の死霊が現われた。




だがその死霊達は、普通の骸骨の様な姿ではなく、剣を手にして、漆黒の衣服を纏い、頭上には漆黒の王冠を被っていた。





「黒紋招来……闇属性最古の魔法……死霊遣い最終奥義か…この時代に極めるものがいるとはな……」




< 181 / 182 >

この作品をシェア

pagetop