西の狼
「…団長、目標の殲滅…完了しました。」

部下がそう報告したがアルバートは違和感を感じていた。

「…何かおかしい…何だ…?」

その時、帝国軍の兵士達が黒い炎に焼かれた。

「な、何だこれは…!?」

「全員、空に上がれ!」
アルバートの号令で全員飛竜に跨がって空に飛び上がった。地上ではまだ帝国兵達が黒い炎に焼かれている。

「…あれは、闇の炎か…だが、勝手に燃え上がるなどと…」

しばらく燃えた帝国兵は、炎を纏ったまま立ち上がった。

「な…!?」

「ウオオォォッ!!」

黒い炎に焼かれた帝国兵は皮膚がただれて無残な姿になった。

「これでは、まるで魔物ではないか…帝国め、一体なにをしたのだ…!」

そうこうしていると全ての帝国兵達が魔物の様になってしまった。
「…仕方ない…奴等を殲滅するぞ!全員、『聖槍』の使用を許可する!」

アルバートが命じると、部下達が持つ槍が白く輝き出した。部下達は眼下のもはや魔物と化した帝国兵に突撃した。白い槍に貫かれた帝国兵達は黒い炎から白い炎に焼かれてその身を浄化されて地面に倒れた。数分して、全ての帝国兵を殲滅した。

「…これは、報告しなければならないな…帰還するぞ!」

アルバートは部下達を連れて帰還した。







「…終わったな。」

「…あぁ…」

ガラルドは部屋にいた。隣りにはガリオがいる。

「レオンはどうした?」
「もう寝たよ。疲れたんだろう。」

ガラルドは煙草を加えて火を付けた。

「…はぁ…あいつも、今年で七歳か…」

「何だ、急に親の様なことを…?」

「お前なぁ…まぁ、そうだな…あいつにも、このブラーニングの血が流れている…いずれは家督を次ぐ。その時に、俺はその姿を見ることが出来るんだろうかな…」

ガラルドは煙草を咥えたまま天井を見た。
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