西の狼
「…何を弱気なことを言ってるんだ…」

「ハハッ、そうだな…俺も、年を取ったもんだ…」

その時誰かがドアをノックした。

「開いてるぞ。」

ガラルドがそう言うとドアが開いた。

「…旦那様…アルバート様が、ご帰還なされた様です。至急、王宮に馳せ参じる様にとのご命令です。」

「そうか。分かった。お前はどうする?」

ガラルドはガリオに向いて言った。

「…そうだな。俺も行こう。」

ガリオはガラルドの後に付いて行った。




「…良く来て下さいましたね、ブラーニング卿。それにガリオまで来て下さるとは…」

「久し振りに王宮に顔を出してみる気になってな。それに今回のことは少々気になってな。報告を直接聞きたいんだ。」

「そうですか。では、レブリエス卿、ご報告を…」

「はっ。任務を受け、私は部下と共に山脈に向かいました。帝国兵は休憩中だった様で、完全に虚を突いた奇襲ができました。帝国兵の殲滅も、さほど労せずに達成できました…ですが…」

「…どうしたのですか?」

「…殲滅した帝国兵が、直後謎の黒い炎に焼かれて…魔物へと変じたのです…」

「人間が、魔物に変じただと…!?」

聞いていたアイナが声は上げた。

「…その黒い炎…」

ガリオがそう言うと、四人と女王がガリオに視線を向けた。

「アルバートは、どう見ている?」

「…私見ですが、あれは闇の炎ではないかと…」

「闇の炎か…確かに古代の闇の魔法の中には、人間を魔物に変える魔法もあったが…それは禁忌として封じられたはずだ…」

「…禁忌を犯して、魔法を復活させたということか…だが、なぜそんなことを…」

「…自分の兵を信用していないのでしょうか…」

「…そんな人間は、上には立てない。それは歴史が物語っていることだ。」

ガリオはそう言いながらも表情は曇っている。
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